LAN共有の仕組みと事前確認
Clash Verge RevをWindowsで起動すると、通常はWindows自身からアクセスできるローカルアドレスでプロキシポートを待ち受けます。初期状態では127.0.0.1またはlocalhostだけを待ち受けることが多く、この状態では同じ家庭内ネットワークに接続したスマートフォンやタブレットから利用できません。LAN共有を有効にすると、WindowsのプライベートIPアドレスを経由して、同じWi-Fiや有線LANに接続した端末からClashのプロキシポートへ接続できるようになります。
この機能はVPNルーターを作るものではありません。スマートフォンやタブレット側でWi-Fiのプロキシ設定を手動で指定し、HTTP、HTTPS、またはSOCKS5に対応したアプリの通信をWindows上のClash Verge Revへ送ります。端末側がプロキシ設定を参照しないアプリ、バックグラウンド通信、独自のDNSやQUICを使用するアプリは、LAN共有だけでは対象にならない場合があります。すべての通信を取り込みたい場合は、クライアント端末側のVPN機能やTUN対応アプリを検討してください。
| 確認項目 | 確認する内容 | 一般的な例 |
|---|---|---|
| WindowsのIPアドレス | 同じLAN内でWindowsを識別するアドレス | 192.168.1.25 |
| プロキシポート | ClashがHTTP、HTTPS、SOCKSを受け付けるポート | 7890、7897 |
| LAN待ち受け | 外部端末からWindowsのプロキシポートへ接続できる状態 | allow-lan: true |
| Windowsファイアウォール | 指定したポートへの受信接続を許可する設定 | プライベートネットワークのみ許可 |
Clash Verge RevでLAN共有を有効にする
最初にClash Verge RevをWindowsで起動し、mihomoまたは選択中のClashコアが正常に動作していることを確認します。サブスクリプションを読み込んでいても、コアが停止している場合はプロキシポートが開きません。画面上では、設定画面、一般設定、ネットワーク設定、またはシステム設定に相当する項目を開き、「Allow LAN」「LANアクセス」「LAN共有」に近いスイッチを探します。Clash Verge Revはバージョンや表示言語によってメニュー名が変わるため、項目名が完全に一致しない場合があります。
- Clash Verge Revを起動し、使用するプロファイルを選択します。
- 設定画面を開き、LANアクセスまたはAllow LANのスイッチをオンにします。
- 現在のHTTP、混合、またはSOCKSポート番号を確認します。
- 設定を保存し、必要であればプロファイルまたはコアを再起動します。
- Windowsのシステムプロキシをオンにする場合は、Windows自身で使用するポートも確認します。
Clashの設定ファイルで確認する場合、代表的な項目はallow-lanとmixed-portです。allow-lan: trueはLAN上の端末から接続できるようにする設定で、mixed-portはHTTPとSOCKS5の両方を受け付けるポートです。ポート番号は環境によって異なるため、例の7890をそのまま入力せず、Clash Verge Revの画面に表示された実際の値を使用してください。
allow-lan: true
bind-address: "*"
mode: rule
mixed-port: 7890
bind-addressの扱いは、使用しているmihomoのバージョンやClash Verge Revの設定方式によって異なります。LAN共有を有効にしても外部端末から接続できない場合にだけ確認し、最初から複数の設定を同時に変更しないでください。設定画面でLAN共有を有効にした後は、実際の待ち受けアドレスとポートをログや接続情報で確認するほうが確実です。
WindowsのIPアドレスとファイアウォールを確認する
次に、Windowsが家庭内ネットワークで使用しているIPv4アドレスを調べます。スタートメニューから「ターミナル」または「コマンドプロンプト」を開き、ipconfigを実行してください。Wi-Fiを使用している場合は「Wireless LAN adapter Wi-Fi」、有線接続の場合は「Ethernet adapter」にある「IPv4 Address」を確認します。たとえば192.168.1.25が表示された場合、スマートフォン側のプロキシホストにはこの値を入力します。
ipconfig
IPv4 Address . . . . . . . . . . : 192.168.1.25
Default Gateway . . . . . . . . : 192.168.1.1
IPv4アドレスが169.254.x.xの場合、ルーターから正しいアドレスを取得できていません。また、Windowsとスマートフォンが別のSSID、ゲストWi-Fi、VPN接続先に分かれている場合も、同じLAN内に見えないことがあります。WindowsのIPアドレスは、Wi-Fiの再接続、ルーターの再起動、DHCPの更新によって変わる可能性があります。固定したい場合は、ルーター側のDHCP予約を使うと、WindowsのIPアドレスを安定させやすくなります。
接続できないときは、Windows Defenderファイアウォールも確認します。Clash Verge Revの初回起動時に「プライベートネットワーク上でこのアプリの通信を許可しますか」と表示された場合は、自宅のネットワークがプライベートとして設定されていることを確認してから許可します。すでに拒否した場合は、「Windows セキュリティ」→「ファイアウォールとネットワーク保護」→「ファイアウォールによるアプリの許可」を開き、Clash Verge Revまたは関連するコアのプライベートネットワーク通信を確認してください。
アプリ単位の許可で解決しない場合は、ポート単位の受信規則を追加します。作成する規則は、必要なTCPポートだけに限定し、プロファイルはプライベートに限定します。UDPを使用するノードやアプリをLAN共有したい場合でも、まずTCPのHTTPまたはmixedポートで基本接続を確認してください。動作確認前に全ポート、全プロファイルを開放する設定は避けるべきです。
- 「Windows Defender ファイアウォールの詳細設定」を開きます。
- 「受信の規則」から新しい規則を作成します。
- 種類は「ポート」、プロトコルは実際に使用するTCPを選択します。
- Clash Verge Revのプロキシポート、たとえば
7890だけを指定します。 - 「接続を許可する」を選び、適用範囲は「プライベート」のみにします。
- 規則名に「Clash LAN TCP 7890」など、用途とポートが分かる名前を付けます。
スマートフォンとタブレットでプロキシを設定する
Windowsとクライアント端末を同じ家庭内Wi-Fiへ接続したら、端末側のWi-Fi設定を開きます。Androidでは接続中のWi-Fiネットワークの編集画面から「プロキシ」を「なし」から「手動」へ変更し、ホスト名にWindowsのIPv4アドレス、ポートにClashのプロキシポートを入力します。iPhoneやiPadでは「設定」→「Wi-Fi」→接続中ネットワークの情報ボタン→「HTTPプロキシ」→「手動」を開き、同じようにサーバーとポートを指定します。
| 端末側の項目 | 入力例 | 注意点 |
|---|---|---|
| サーバー/ホスト | 192.168.1.25 |
127.0.0.1やlocalhostは入力しない |
| ポート | 7890 |
Clash Verge Revに表示されたポートと一致させる |
| 認証 | 通常はオフ | Clash側で認証を設定している場合だけユーザー名とパスワードを入力 |
| バイパス | 空欄または必要なローカルドメイン | プロキシ対象から除外したい通信だけを指定する |
ブラウザーで一般的なHTTPSサイトを開き、Clash Verge RevのConnectionsやログ画面に接続が表示されるか確認します。表示されれば、端末からWindowsのClashポートまでの経路は成立しています。続いてルールに応じたプロキシグループへ通信が送られているかを確認してください。接続が表示されない場合は、ホストのIPアドレス、ポート番号、Windowsファイアウォール、端末が接続しているSSIDの順に確認すると効率的です。
接続できない場合の切り分け
- タイムアウトする:Windowsと端末が同じLANにいない、ゲストWi-Fiで端末間通信が禁止されている、またはファイアウォールがポートを遮断している可能性があります。
- 接続拒否になる:Clashコアが停止している、ポート番号が違う、LAN共有がオフ、または別のアプリがポートを使用している可能性があります。
- Clashには接続が出るがページが開かない:選択中のプロキシノード、DNS、ルール、証明書エラーを確認します。LAN経路が成立していても、上流ノードが利用できるとは限りません。
- 一部アプリだけ使えない:アプリがWi-FiのHTTPプロキシを参照していない、独自VPNを使用している、またはQUICや独自DNSを利用している可能性があります。
- IPアドレスを変えたら使えなくなった:DHCPによってWindowsのIPv4アドレスが変わった可能性があります。
ipconfigで現在の値を再確認してください。
安全に使うための運用と終了手順
LAN共有を有効にすると、Windows上のプロキシポートが家庭内ネットワークの他の端末から見える状態になります。自宅のルーターが適切に分離されていればインターネットへ直接公開されるわけではありませんが、ポートを無制限に開放してよいという意味ではありません。ルーターのポート転送、DMZ、UPnPによる外部公開は設定しないでください。Clash Verge Revやmihomoのコントロールポートを0.0.0.0で公開する設定も避ける必要があります。
- LAN共有は自宅のプライベートネットワークだけで使う。
- 必要なプロキシポートだけをWindowsファイアウォールで許可する。
- コントロールポートやAPIのsecretをスマートフォン側へ入力しない。
- 外出先のWi-Fiへ接続したらLAN共有と手動プロキシをオフにする。
- Windowsのスリープ、Wi-Fi切断、Clashコア停止後に端末側の設定を確認する。
- 使用しなくなった受信規則は削除または無効化する。
共有を終了するには、まずスマートフォンやタブレットのWi-Fi設定を「プロキシなし」に戻し、Clash Verge RevのLAN共有をオフにします。その後、追加したWindowsファイアウォールの受信規則を無効化してください。家庭内で一時的に動画再生やアプリの通信を確認する用途なら、必要な時間だけ有効にして終了時に戻す運用が最も安全です。