Clash Plusを選ぶ前に確認すること
iPhone、Android、Windows、Macで同じプロキシ環境を使いたい場合、端末ごとに異なるClashクライアントを覚えるより、複数のOSに対応したClash Plusへまとめる方法が分かりやすい選択肢になります。アプリの画面や設定項目をある程度そろえられるため、スマートフォンでは手軽に、パソコンではシステムプロキシやTUNを使うという運用に移行しやすくなります。
ただし、Clash Plusをインストールしただけで通信が自動的に利用できるようになるわけではありません。通常は、プロキシサービスから発行されたサブスクリプションURLをアプリへ登録し、設定ファイルを取得したうえで、プロキシグループと接続モードを選択します。サブスクリプションはアプリ本体ではなく、ノード、プロキシグループ、ルールなどを含む設定情報です。
アプリとカーネルの役割
Clash Plusは設定を管理するクライアントであり、実際のDNS処理、ルール照合、接続の確立、ローカルポートでの待ち受けは、内部のClash系またはmihomo系カーネルが担当します。アプリが起動していても、カーネルが設定を読み込めていなければ通信は成立しません。接続できないときは、画面の接続状態だけでなく、ログに設定解析エラーやポート競合が出ていないか確認しましょう。
端末別のインストールと初期設定
同じサブスクリプションを使う場合でも、OSによって必要な権限と接続方式は異なります。最初はすべての端末でTUNを有効にするのではなく、ブラウザーなどシステムプロキシに対応したアプリから動作を確認すると、問題が起きたときの切り分けが簡単です。
| 端末 | 最初に使う方式 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| iPhone | VPN構成 | VPN追加の許可、App Storeの地域とOSバージョン |
| Android | VPNサービス | VPN権限、バッテリー最適化、常時接続設定 |
| Windows | システムプロキシ | 管理者権限、ポート競合、Windows Defenderの許可 |
| Mac | システムプロキシ | ネットワーク設定、ネットワーク拡張、AppleシリコンかIntelか |
iPhoneとAndroidの設定
iPhoneでは、Clash Plusをインストールして初回起動すると、VPN構成の追加を求められることがあります。表示された内容を確認し、VPN構成の追加を許可してください。これは一般的なVPN接続のためのOS権限であり、サブスクリプション事業者へiPhone全体のロック解除情報を渡す操作ではありません。許可後にアプリへ戻り、設定ファイルを読み込んで対象のプロファイルを有効にします。
Androidでも、最初にVPN接続の許可ダイアログが表示されます。Androidのメーカー独自機能によっては、バックグラウンド動作が停止されることがあります。接続が数分で切れる場合は、「設定」→「アプリ」→「Clash Plus」→「バッテリー」で制限を確認し、必要に応じて最適化の対象外にします。省電力設定を解除しても電池消費が大きい場合は、常時TUNを使わず、必要な時間だけ接続する運用も検討してください。
スマートフォンでは、VPNアプリを複数同時に有効にできないことがあります。別のVPN、広告ブロッカー、セキュリティアプリがVPNプロファイルを使用している場合は、先に停止してからClash Plusを有効にします。iOSとAndroidの両方で接続できないときは、サブスクリプションそのものではなく、VPN権限の競合を疑うと効率的です。
WindowsとMacの設定
Windowsでは、まずClash Plusを通常のアプリとして起動し、サブスクリプションを読み込んでからシステムプロキシを有効にします。一般的な混合ポートは127.0.0.1:7890ですが、ポート番号はアプリの現在の設定を優先してください。別のClashクライアント、開発用プロキシ、Docker、ローカルWebサーバーが同じポートを使っていると、カーネルが起動しても待ち受けに失敗します。
Macでは、Appleメニューの「システム設定」→「ネットワーク」から、Wi-FiまたはEthernetのプロキシ設定を確認できます。Clash Plusにシステムプロキシの切り替え機能がある場合は、手動で同じ項目を変更する前に、アプリ側のスイッチを使うほうが状態を戻しやすくなります。TUNを使う場合は、ネットワーク拡張やVPN構成の許可が追加で必要になることがあります。
Appleシリコン搭載Macではarm64版、Intel Macではx64またはIntel版を選びます。Windowsでもx64、arm64、x86などの配布形式を間違えると、起動しない、動作が不安定になる、互換レイヤーが必要になるといった問題が起こります。ダウンロード前に「このMacについて」またはWindowsの「システム情報」でCPU種別を確認してください。
サブスクリプションを登録して共有する手順
ここでは、4台の端末に同じ購読設定を登録する基本手順を確認します。端末間で共有するのは通常、サブスクリプションURLです。接続中のノード選択や一時的な遅延測定結果まで完全に同期されるとは限らないため、各端末でプロキシグループを一度確認してください。
- サービス提供元の管理画面で、Clash、Clash Meta、またはmihomo向けのサブスクリプションURLをコピーします。
- Clash Plusを開き、設定またはProfilesに相当する画面からURL追加を選びます。
- 購読名を「日常用」など分かりやすい名前にし、URLを貼り付けて更新します。
- 取得した設定を有効化し、プロキシグループで使用するノードまたは自動選択を指定します。
- WindowsとMacではシステムプロキシ、iPhoneとAndroidではVPN接続を有効にします。
- ブラウザーで通常のWebページを開き、ログに接続先とルールの結果が表示されるか確認します。
mixed-port: 7890
allow-lan: false
mode: rule
log-level: info
external-controller: 127.0.0.1:9090
上の設定例は構造を理解するための参考です。サブスクリプションから取得した設定を、内容を確認せずにこの例で置き換えないでください。特にallow-lan: trueへ変更すると、同じLAN上の端末からローカルポートへ接続できる可能性があります。家庭内の別端末から使う明確な理由がない限り、allow-lan: falseとローカルアドレスの組み合わせが安全です。
自動更新と接続モードの調整
購読設定の自動更新は、短すぎる間隔にしないことが重要です。たとえば毎日1回程度の更新で十分なサービスが多く、数分おきに更新すると429や一時的な利用制限につながることがあります。更新に失敗する場合は、URLの有効期限、User-Agentの制限、DNS、更新時にプロキシを使うかどうかを順番に確認します。
接続モードは、まずruleを選ぶと扱いやすいでしょう。ルールモードではドメインやIP、ルールセットに応じて直接接続とプロキシ接続を振り分けられます。すべての通信をプロキシへ送るグローバルモードは原因の切り分けには便利ですが、国内サービスやローカル機器までプロキシ経由になり、速度やアクセス結果が変わることがあります。
TUNを使うべき場面と注意点
システムプロキシは、ブラウザーや一般的なHTTPアプリなど、OSのプロキシ設定を参照するソフトウェアに向いています。一方、ゲーム、コマンドラインツール、一部のアップデーター、独自のネットワーク処理を行うアプリはシステムプロキシを無視することがあります。そのような通信もルールに従わせたい場合は、Clash PlusのTUNモードを検討します。
TUNは仮想ネットワークインターフェースを作り、OSの通信をより低い層で取り込む方式です。便利な反面、VPN、ウイルス対策ソフト、企業のネットワーク管理エージェントと競合することがあります。TUNを有効にした直後にインターネットへ接続できなくなったら、まずTUNを無効にしてシステムプロキシへ戻し、DNS、ルール、権限、既存VPNの順に確認してください。
- ブラウザーだけを使う:まずシステムプロキシを使い、動作確認を簡単にします。
- ゲームやCLIも対象にする:必要な場合だけTUNを有効にします。
- 会社や学校の端末:VPNやネットワーク拡張の利用ポリシーを確認します。
- 家庭内LANへ接続する:LANアクセス許可とファイアウォールを確認し、不要な外部公開を避けます。
接続できないときの確認順序
複数端末で同時に不具合が起きた場合は、まずサブスクリプションとサービス側を疑います。1台だけ失敗する場合は、OSのVPN権限、システムプロキシ、端末時刻、DNS、ファイアウォールを確認します。設定を一度に複数変更せず、変更内容と結果を記録すると原因を追いやすくなります。
- 購読設定が有効で、更新時刻が新しいか確認する。
- プロキシグループにノードが表示され、選択済みか確認する。
- ログに
connection refused、timeout、yaml unmarshalなどがないか確認する。 - ローカルポートが他のアプリと競合していないか確認する。
- システムプロキシまたはVPNが実際に有効になっているか確認する。
- 特定のサイトだけ開けない場合は、ルールとDNSの結果を確認する。
よくある質問
1つのサブスクリプションをiPhoneとWindowsで使えますか?
サービス提供元の同時接続数や利用規約が許可していれば、同じサブスクリプションURLを複数端末へ登録できます。ただし、同時接続数の上限や更新回数の制限がある場合は、契約条件を優先してください。
iOS版を無料で始められますか?
アプリの配布条件や機能は提供元と配布ストアの最新情報を確認してください。無料でインストールできても、通信に必要なノードやサブスクリプションは別途必要になる場合があります。アプリ代とプロキシサービスの料金を分けて考えることが大切です。
端末ごとに設定ファイルを分けるべきですか?
基本設定を共有し、端末ごとにTUN、DNS、除外ルールだけを調整する方法が実用的です。スマートフォンでは電池消費、WindowsやMacではTUNやLANアクセスなど、OSに応じて必要な項目が異なります。
TUNを常に有効にしても問題ありませんか?
必要な通信を確実に取り込める一方、VPN競合、電池消費、DNSの挙動変化が起こることがあります。まずシステムプロキシで利用し、対象アプリがプロキシを無視するときだけTUNを有効にするのがおすすめです。